攻略データ
コンテンツ名 | 滅びゆく魔法書からの脱出 |
コンテンツのスタイル | 謎解きグッズ(ゲームブック) |
難易度 | ★★★★★★★☆☆☆(10段階評価) |
ボリューム | ★★★★★★★★★☆(10段階評価) |
ストーリー性 | ★★★★★★★★★★(10段階評価) |
プレイ人数 | 1人 |
実際に要した時間 | 11時間(断続的に3日間かけて) |
練習になる力 | 読解力、観察力、ひらめき |
購入料金 | 2,200円(税別) |
公式情報 | 滅びゆく魔法書からの脱出 SCRAP出版 |
コンテンツのスタイルについて詳細は「リアル脱出ゲーム&体験型 謎解きの種類」をご参考ください
こんな方におすすめ
- ファンタジーRPGの世界観で、本の中を仲間と一緒に隅々まで冒険したい
- 普段の生活に、ちょっとだけ謎解きの時間を。コツコツ楽しみたい
- 魔法のアイテムで謎解きやギミック(仕掛け)発動! 魔法使いになりきれる
-はじめに-
今回の記事では、リアル脱出ゲームで有名なSCRAPさんが展開している魔王城脱出シリーズの1つ「滅びゆく魔法書からの脱出」をレビューします!
ゲームブック形式の書籍ですが、公演型のリアル脱出ゲームに出題されてもおかしくないハイレベルなひらめき問題と、続きが気になってしかたがないストーリーについつい時間が経つのも忘れてしまい・・・読んでいる期間は、寝不足に注意でした。
「滅びゆく魔法書からの脱出」の購入を検討されている方や、プレイ中の方にとっても攻略の参考となる情報をレポートしています。既に読み終わっている方は、感想を読み比べてみるのも楽しいかもしれませんね。下の目次より、気になった部分だけご覧いただいても理解出来る記事になっています!
「滅びゆく魔法書からの脱出」概要と特徴のまとめ
何者かが創り出した魔法書の世界。倒したと思ったはずの「魔王」によって、その魔法書の世界に閉じ込められてしまった勇者(召喚士)と盗賊のコンビが、コミカルに、時にシリアスに活躍する冒険ファンタジー、それが「滅びゆく魔法書からの脱出」です。
形式はゲームブックです。
「酒場に行って村人の話を聞くなら21ページへ、宿屋に行くなら8ページへすすめ」
といった自分の選択でパラグラフを読み進めていく例のアレです。
しかもこのゲームブック、いろいろと凝っております。
ただ単にパラグラフを選択していくだけではなく、謎解きしなければ次に進むパラグラフ番号がわからなかったり(答えが数字になる)、一度行った村やダンジョンは世界地図に数字を書き込むことで、いつでも戻って来ることが出来ます。まるでルーラみたいですね。時間経過の概念がシステムとして見事に本の中で再現されているため、一度いった村やダンジョンも再び訪れると状況が変わっていたりします。ゲームブックで出来ることの可能性をとことん追求していてとても感心しました。
(今までのSCRAPさん関連のゲームブックをプレイした事がある人は、同じシステムと思って間違いありません)
世界観のベースになっているのはSCRAPさんがコンテンツ展開している「魔王城脱出シリーズ」です。シリーズの他作品を知らなくても、この「滅びゆく魔法書からの脱出」だけで楽しめる作りになっています。もちろん、他のシリーズをプレイすると、より楽しむことが出来ます。
魔王城脱出シリーズとは?
西洋ファンタジーの世界観で繰り広げられるSCRAPさんの謎解きシリーズです。
勇者や戦士、魔法使いといったロールプレイングゲームでお馴染みの職業に扮して、世界を滅ぼそうとする魔王を倒す、そんな王道のファンタジーものです。
魔王を倒した後、その城からの脱出を目指すものや、時間が巻き戻ってしまうタイムループもの等、魅力的なシチュエーションの脱出ゲームを展開しています。
今記事の「滅びゆく魔法書からの脱出」はゲームブックですが、他には、大型書店とコラボした周遊型の謎解き「本に棲まう魔物をたおせ!!」、公演ルーム型のリアル脱出ゲーム「魔王城からの脱出」「魔王城からの脱出2」があります。詳細は公演情報をご覧ください。
このゲームブック「滅びゆく魔法書からの脱出」の内容について、特徴をまとめると、次のようになります。
・謎解きに正解しないと先に進めないストーリー(一部分)
・付属のキット類が豊富で飽きさせないギミック(仕掛け)
・アナログならではの謎解き(折ったり・重ねたり・書き込んだり)に特化
・コミカル&シリアスのバランスが良いキャラクター
・謎解きと物語(ストーリー)が融合した奥深い体験ができる
次項から各特徴の詳細を説明していきます。
謎解きの内容「魔法のアイテムを使用したギミック盛りだくさん」
このゲームブックにおける謎解きの特徴をひとことで言うと「ギミック(仕掛け)が満載」ということです。難易度は全体的に高めです。
ストーリーの要所で、謎解きに正解しないと次に進むべきパラグラフ番号がわからない関門があります。謎解きに慣れていない人が、ヒント無しでエンディングにたどり着くのは難しいレベルです。
謎解きでは、紙のキット類を重ねたり、折ったり、書き込んだりするアナログならではの仕掛けが、これでもかという程詰め込まれていました。このような作業はあまり凝り過ぎると謎解きに集中出来なくなってしまいますが、適度に作業を必要としながら「ひらめき」や、次の展開を期待させる「わくわく」を忘れさせない作りになっていました。
アナログキットの内容は?
付録のアナログキットには次のようなものがありました。これらの魔法のアイテムを使用した謎解きが、魔法使い気分を高めて他の謎解き本との違いになっていました。
召還魔方陣
ストーリー的には、様々な特徴を持つ魔物を呼び出すことの出来る魔法陣です。例えば時間を巻き戻せる魔物を呼び出せたりします。呼び出すためには、その魔物の名前や特徴を知らなくてはいけません。
現実は、六芒星模様の定規(プラスチック製)です。条件によって問題用紙に様々な線を描き込みます。線を描くことで問題の内容が変わります。
例:時間を巻き戻す魔物の力を借りて、消えてしまった石版の文字を元に戻すなど。
マネッコカード
ストーリー的には、モンスターの能力をコピーして使用する能力を秘めたアイテム。
現実は、トレーシングペーパーです。コピーする能力に応じて、指定された記号や簡単なイラストを書き写しておきます。能力を使用するときは問題の図形やマップに重ねます。そうすることで内容が変化します。
例:壁をすり抜けることが出来る能力をコピー。問題の迷路に重ねることで、通ることの出来る壁が出来る。
魔法の鍵
形を変えることが出来る魔法の鍵。変形によってあらゆる鍵を開錠可能に。
現実は、ラッピングタイ(パンの袋とかを束ねて留めているハリガネ入りのアレ)です。図で示された形にあらかじめ曲げておくことで、その形にあった鍵を後々開けることが出来ます。
世界地図や各種問題シート
様々な情報を書き込んだり、上述のアイテムと併用して使用することも。
これらアナログキットを使用した謎解きでは、一度使用したアイテムをもう一度「まさか」のタイミングで、「思いがけない」使い方をすることもあります。リアル脱出ゲームの公演でもよくある手法ですが、効果的な使われ方をしていて、謎解きを飽きさせない工夫が随所に感じられました。
謎解きの難易度は?
管理人が、読み始めてからエンディングにたどり着くまでかかった総時間は「11時間」でした。3日間に分けてプレイをしています。
ストーリーの要所で出題される問題は、高いひらめき力が試されました。1時間以上、考えても正解にたどり着けないことも。そういう高難度の問題が全体を通して3問程ありました。考え疲れで寝てしまい、翌日、起きた途端に思いつくといったこともあったり。詰まってしまった場合は、少し休憩し時間を空けた方が、ひらめくかもしれませんね。時間制限のない謎解きグッズならではの楽しみ方と言えるかもしれません。
また、10月1日より公式ヒントが公開されます。内容がどのようなものになるのか、確認が出来たらこの記事に追記していきます。
追記19.10.08
公式ヒントについて
10月1日に公開された公式ヒントは、かなり丁寧な内容になっています。
謎解きの出題されたパラグラフ番号とヒント番号が同じになっていて、必要なヒントが見つけやすくなっています。また、一度に決定的なヒントまで見なくても済むように、段階的に示されています。さらなるヒントを見たい人は → といった感じで誘導されます。
難問だと思われる謎解きのヒントを確認しましたが、この公式ヒント見れば問題無く解けると思います。
ストーリーの内容「謎解きと融合した奥の深いセカイ系物語」
ストーリーの特徴は「本の中を旅する」ことです。
断末魔を上げる魔王に、勇者と仲間が魔法書の世界に閉じ込められる。魔法書の世界で暮らす人々は、自分達が本の中で生きていることを自覚していて、外の世界があることを知っています。ときどき出てくるメタ発言ともとれる(読者にむかって話しかけるような)セリフとも相まって、不思議な感覚を作り出しています。
この「本の中を旅する」というカラクリが、終盤の謎解きにもストーリーにも重要な意味を持つことになります。登場人物達の個人的な事情や感情が世界のあり方に干渉する「セカイ系」のストーリーと言えると思います。
少し設定が複雑なので整理すると次のようになります
・魔法書の中の世界で冒険
※魔王を倒した世界(外の世界)→ 魔法書の世界(本の中の世界)
・本の中から脱出することが当面の目的
・外から来た者は、魔法書の世界では5日間しか生きられない(時間の経過がある)
・魔法書の中で生活する人々は、本の中の住人であることを自覚している
本の中に住んでいる人々や、モンスター達はどこかとぼけていて憎めない性格のお調子者ばかり。勇者である召喚士と盗賊のコンビもセリフ回しがシニカルで、序盤・中盤まではどちらかというとコミカルなドタバタ冒険が続いていきます。
時々垣間見えるミステリアスな要素を伏線にして、終盤にかけてはシリアスな内容に変わっていきます。軽妙な雰囲気から次第に物語の核心へ吸い込まれていくストーリー展開を楽しむのが、このゲームブックの読み応えのひとつだと感じました。
公演型のリアル脱出ゲームでは、臨場感のある世界観を楽しめますが、ゲームブックには書籍ならではの良さがあります。制限時間1時間では語れないストーリーの奥深さや強い余韻を感じることが出来るのは、書籍ならではの強みではないかと思います。
攻略のコツ どうしてもクリア出来ない方へ
ここでは既にプレイしている人に向けた攻略のためのコツを紹介します。
ネタバレはしていませんが、未プレイの方はご注意ください。
攻略のコツ
・世界地図・村マップ上をくまなく探索。一度探索した場所も時間が経過したら(章が変わったら)もう一度全てまわろう
・必要なときにアイテムが無い場合は、そのパラグラフ番号とアイテム記号をメモ
→ アイテムを手に入れたら、すぐ戻って来られるように
・難問は1時間考えても解けない時は解けない。時間を空けると急にひらめくことも(見方を変える)
・挿絵にも注意を向けよう。隠れた情報、伝えようとしていることがあるかも(気になった挿絵はページ数をメモ)
・最後の最後はひらめきが必要となる難問が連続。今までの冒険を振り返り、1つ1つの体験を組み合わせることで自分に出来ることを考えよう。巧妙に隠されていたり、見落としているヒントがないか、手持ちの情報やアイテムを注意深く観察
(追記 19.10.08)
・それでも、どうしても解けない時には10月1日に公開された公式ヒントを有効活用。公式ヒントは1つの問題に対して段階的に表示出来るので、一度に知り過ぎることもなく安心
感想「余韻の高い物語・本格謎で大人が楽しめる」
この「滅びゆく魔法書からの脱出」を読み終えての感想は「素晴しい読書体験だった」ということにつきます。
アナログならではの謎解きや、ギミック(仕掛け)を心ゆくまで堪能することが出来ましたし、何より、書籍だからこそ楽しめる奥の深いストーリーに触れて、一緒に冒険をした登場人物たちにシンパシーが芽生えました。普通の読書では味わえない、謎解き作業で手を動かし頭も使うことで、より物語への感情移入が高くなったと思います。
物語のエンディングもその後に続いていく世界をいろいろと想像させられる余韻の高いものでした。絵柄はとてもかわいいタッチの本ですが、謎解きのレベルやストーリー展開は、大人が楽しめるゲームブックだったなあと思います。
また、管理人は「魔王城脱出シリーズ」のうち、大型書店で周遊型の謎解きを行う「本に棲まう魔物をたおせ!!」をプレイしていたので、世界観やストーリーへの理解をより深く感じられました。そちらの体験レポートも書いていますので、気になる方がいらっしゃいましたらご活用ください。
【攻略レポ】リアル脱出ゲーム×書店「本に棲まう魔物をたおせ!!」
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どうかなるべく多くの皆さんに、謎が解けた瞬間のあの歓喜の時が訪れますように!